JBIF:地球規模生物多様性 情報機構日本ノード

タイトルと作成者

維管束植物和名チェックリストver. 1.00

山ノ内崇志1)・首藤光太郎2)・大澤剛士3)・米倉浩司4)・加藤 将5)・志賀 隆2)

  1. 福島大学共生システム理工学類
  2. 新潟大学教育学部
  3. 首都大学東京都市環境科学研究科
  4. 東北大学植物園
  5. 東邦大学理学部

目的

■本チェックリストは、和名に基づく維管束植物のリストやデータベースの利用に際し、異名を含む和名全般から標準的な和名を検討するための和名チェックリストである。学名は分類学の進展により変化することが多いのに対し、和名は比較的安定であり、データとして分類群を取り扱う上では便利である。その一方で、和名には日本語の表記上の揺らぎが存在し、標準的に使われる和名が収束していないものもある。これらのことは、制作者や制作年代が異なる多量の植物名データを比較するときの障害となる。本チェックリストには、日本産の維管束植物に加え、よく知られた外来植物および園芸植物、一部近隣国に分布する植物の和名が採録されている。また、日本国内で使用されている著名な植物種リストおよび図鑑の掲載種への紐づけを行った。

対象とした和名

■以下の文献・リストをデータソースとし、掲載されている維管束植物分類群(外来種や園芸種を含む)の和名を採録した。

  • 『Green List ver. 1.01』(Ebihara et al. 2016; Ito et al. 2016; 以下、Green List)
  • 『日本産シダ植物標準図鑑I・II』(海老原 2016a, b; 以下、シダ標準図鑑I~II)
  • 『改訂新版 日本の野生植物 1~5』(大橋ほか 2015; 2016a, b; 2017a, b; 以下、野生植物1~5)
  • 『Ylist』(米倉・梶田 2003-)を更新するためのコケ植物を除く未公開データ(米倉 未発表; 以下、Ylist更新データ)

データベースに採録した和名数

■採録した分類群数(=標準的な和名数)と標準的な和名を含む総和名数

文献 分類群数 総和名数
Green List(シダ植物) 1,096 1,541
Green List(裸子植物) 74 95
Green List(被子植物) 8,357 12,067
Ylist更新データ 19,121 27,594
シダ標準図鑑I 556 690
シダ標準図鑑II 766 934
野生植物1 1,821 2,148
野生植物2 1,680 2,027
野生植物3 1,346 1,724
野生植物4 1,407 1,753
野生植物5 2,104 2,650
38,328 53,223

データの内容について

■チェックリストは「Hub_data」「JN_dataset」2つのシートからなる。

■「Hub_data」は以下の項目からなり、引用元の和名を統合した30,436件のデータを格納する。

all name 引用元に掲載された、異名を含むすべての和名。
Hub name データベース上での標準的な和名を示す。原則として各データソースでの標準的な和名を採用したが、データソース間で標準的な和名が一致していない場合、それらをスラッシュで区切って併記した。
lato/strict Hub nameに広義と狭義がある場合、その区分を記した。
Family ID 科名のID。
Family name 科の学名。
Family name (JP) 科の和名。
GL 「JN_dataset」に採録されたGreen List掲載種の種ID。
SF 「JN_dataset」に採録されたシダ標準図鑑I~II掲載種の種ID。
WF 「JN_dataset」に採録された野生植物1~5掲載種の種ID。
YL 「JN_dataset」に採録されたYlist更新データ掲載種の種ID。
status 各データソース間で、和名の指す分類群の同一性が確認できたものは"確定"とし、和名の指す範囲が異なるなど分類学的な検討を要するものは"!未統合"とした。
message 一つのall nameに対し複数のHub nameが相当する、すなわち異物同名が存在する場合に、その候補となるすべてのHub nameをスラッシュで区切って併記した。例えば、all name「エゾヒカゲノカズラ」はHub name「エゾヒカゲノカズラ」とHub name「ヒカゲノカズラ広義」に該当する。

■「JN_dataset」は「維管束植物和名チェックリスト」の掲載分類群の出典を検索するためのリストである。以下の項目からなり、53,223件のデータを格納する。

ID 各分類群に与えられた種ID。
Family ID 科名のID。
Family name 科の学名。
Family name (JP) 科の和名。
common name 各データソースでの標準的な和名。
another name 各データソースに掲載された異名を含むすべての和名。
another name ID 各分類群内の異名に与えられたID。
note 1 和名の示す範囲に関する備考。
note 2 データソースから学名を採録するにあたっての修正等。
scientific name with author author nameを含む学名。
scientific name without author author nameを除く学名。

データの採録における分類群の取り扱い

■図鑑類に掲載された和名のうち、解説文内で紹介されている和名については、原則として「…区別できない」等の記述がある場合には著者による分類学的見解とみなして同一分類群の異名とし、「…区別は難しい」等の記述の場合には難易度を示したものとみなして別分類群として取り扱った。ただし、表現があいまいなものもあり、その場合著者らの判断で処置した。また、種以下の分類群の解説以外(例えば科の解説など)でとり上げられた和名については、学名が伴っている場合には分類学的実体を持つ分類群と判断し採録した。和名のみが掲載されている場合には、指し示す分類群の範囲を特定するのが困難なことがあったため、一律して採録を見送った。

Hub nameの整備方法

■和名、異名、学名および広義・狭義などの分類群の範囲を示す情報をもとに、各データソースから採録された分類群の統合を行った。この操作により、総和名数を30,436件に整理した。このうち、29,919件は和名が示す範囲が文献間で一致し、残る517件は和名および異名の示す範囲が文献間で異なるなど分類学的な検討が必要と判断されたため、統合を保留しステータスを「!未統合」とした。

科の扱いについて

■リストの科は、シダ植物についてはPPG I(PPG I 2016)、裸子植物についてはChristenhusz et al.(2011)、被子植物についてはAPG IV(APG IV 2016)に準拠した。ただし、Adoxaceae(レンプクソウ科)については命名規約における優先権に基づき名称をViburnaceae(ガマズミ科)とした(米倉 2019)。なお、キタミソウ属Limosella、スズメノハコベ属Microcarpaea、ツボクサ属Centellaはその所属がデータソースによって異なったが、ここではAngiosperm Phylogeny website(http://www.mobot.org/MOBOT/research/APweb/)掲載の所属に準拠した(2018年1月20日最終確認)。

■科の配列順序は、それぞれ引用元の文献の掲載順とした。

■科の和名は、シダ植物については海老原(2016a, b)に準拠した。裸子植物・被子植物については大橋ほか(2017b)のp18に準拠したが、ススキノキ科のみAPGⅣに合わせツルボラン科とした。これらに掲載がない科については、暫定処置として複数の文献を参考に科名を充てた。

利用規約

■当チェックリストは、(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(4-1705)「湿地の多面的価値評価軸の開発と広域評価に向けた情報基盤形成」により作成された。

■当リストのライセンスはクリエイティブ・コモンズのCC BY 4.0 国際とする。出典を明示する限り自由な利用、加工、再配布を許可する。

■引用方法は以下の形を推奨する。

  • Yamanouchi, T., Shutoh, K., Osawa, T., Yonekura, K., Kato, S., Shiga, T. 2019. A checklist of Japanese plant names ver. 1.00 (https://www.gbif.jp/v2/activities/wamei_checklist.html)
  • 山ノ内崇志・首藤光太郎・大澤剛士・米倉浩司・加藤 将・志賀 隆. 2019. 「維管束植物和名チェックリスト ver. 1.00」 (https://www.gbif.jp/v2/activities/wamei_checklist.html)

■当リストに関するコメントは以下へご連絡ください。

 shiga[at]ed.niigata-u.ac.jp(新潟大学教育学部 志賀隆) ※ [at]を@に変換

引用文献およびURL

  • APG IV. 2016. An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV. Botanical Journal of the Linnean Society, 181: 1-20.
  • Christenhusz, M. J. M., Reveal, J. L., Farjon, A., Gardiner, M. F., Mill, R. P., Chase, M. W. 2011. A new classification and linear sequence of extant gymnosperms. Phytotaxa 19: 55-70.
  • 海老原淳. 2016a. 日本産シダ植物標準図鑑I. 学研プラス, 東京.
  • 海老原淳. 2016b. 日本産シダ植物標準図鑑II. 学研プラス, 東京.
  • Ebihara, A., Ito, M., Nagamasu, H., Fujii, S., Katsuyama, T., Yonekura, K., Yahara, T. 2016. Fern GreenList ver. 1.01, (http://www.rdplants.org/gl/).
  • Ito, M., Nagamasu, H., Fujii, S., Katsuyama, T., Yonekura, K., Ebihara, A., Yahara, T. 2016. GreenList ver. 1.01, (http://www.rdplants.org/gl/).
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編). 2015. 改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科. 平凡社, 東京.
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編). 2016a. 改訂新版 日本の野生植物 2 イネ科~イラクサ科. 平凡社, 東京.
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編). 2016b. 改訂新版 日本の野生植物 3 バラ科~センダン科. 平凡社, 東京.
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編). 2017a. 改訂新版 日本の野生植物 4 アオイ科~キョウチクトウ科. 平凡社, 東京.
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編). 2017b. 改訂新版 日本の野生植物 5 ヒルガオ科~スイカズラ科. 平凡社, 東京.
  • PPG I. 2016. A community-derived classification for extant lycophytes and ferns. Journal of Systematics and Evolution 54: 563-603.
  • 米倉浩司. 2019. 新維管束植物分類表. 北隆館, 東京.
  • 米倉浩司・梶田忠. 2003-. BG Plants 和名-学名インデックス(YList), (http://ylist.info).